「…で、以上です。何かわからないこととかありませんか?」


オリエンテーションをしている内に、いつものペースが掴めてきた。


「いえ。手術前日までやることないんですね。もっと慌ただしいと思ってました。」


「ふふっ。それまで手術前後で使うものを用意してくれれば、後は体調崩さないようにしてくれればいいですね。痛いし動き回ったりはしないと思うけど。」


「車椅子でもやっとなんですから、今はおとなしくしてます♪」


手を軽く頭に添えて敬礼みたいにする。


更には無邪気に笑って返事を返す姿は子供っぽくて、なんだか可愛らしく見えた。それに…






「…なんか人懐っこいよねぇ、朝比奈さんって。」




思ったことが、つい、口に出てしまっていた。




…気づいた時には遅し。


彼はキョトンとした顔で私を見ていた。