病院恋愛

「無視するなんて意地悪だなぁ〜。そんなに俺の印象悪かった?」


苦笑する隼人さん。


「……ソンナコトナイデスヨー。」


私は最低限の『微笑』を作って、返事を返した。


「そんないかにも『作りました』って顔で笑わないの。ていうか、素でいいよ。ここには理人とかいないんだし。」


「……はぁ。ところで隼人さん。」


「あ、名前で呼んでくれるんだ♪」


見た感じ、なんかすごく嬉しそう。




…女好きだから?




それに、名前で呼ぶっていうか、


「………名字で呼ぼうにも、名字を知りません。」


そう。


自己紹介でも確か名字は名乗ってなかったと思う。


理人さんの従兄弟だし名字同じならわかるけど、違ったら失礼だし。




「じゃあ教えない♪」


「は?」


この流れだと教える雰囲気だよね?


「だって教えたら名字で呼ばれそうだし。俺は名前で呼んで欲しい。」


「…はぁ。」




…どうでもいい




「ところで何の用なんですか?声をかけたなら、『それなりに』用事があるから、ですよね??」


強く強調して言ってみた。


暗に『用がないなら話しかけるな』の意味を含めて。