病院恋愛

「うん、コレ似合いそう。着てみたら?」


「………。」




…私は聞かなかった。


幻聴を聞いた。


私はきっと、相性の悪いであろう『あの男』のインパクトが強くて一瞬思い出しただけなんだ。


そう言い聞かせ、また目の前のワンピースをガラス越しに見つめた。


うん、やっぱりいいなぁ…


買い置きって、できるのかなぁ…




「無視?酷いなぁ〜。雪ちゃん?俺のこと忘れちゃった?」


あぁ…、また幻聴が


グイッ


「へっ??」


「やっぱり雪ちゃんだよね。久しぶり☆」


「………チッ………お久しぶり…、デスネ。」




肩を捕まれ、強引に後ろを振り向かされると……


スーツ姿の、あの自称遊び人・隼人さんがニッコリと私を見つめていた。