俺はその家から仕事場に通っている。

ケーキを実際に作ったりしている。

男がスイーツを作る…最初はあんまり想像は出来なかった。
でも…小さいときにおやじに連れられて小夏と三人でケーキ屋に行ったとき…。


「小夏ちゃんはスイーツ好きかい?」
おやじは優しく小夏に質問し微笑んだ。

「うん。大好き。」

小夏はそう言って微笑んだ。
「私ね…大きくなったら…スイーツを作る王子様と結婚するのが夢なの。」


小夏は無邪気に微笑みながらそう言った。

「そうか。そうか。小夏ちゃんならきっといい王子様が迎えに来てくれるよ。」


「うん」
そのときからだ…俺が小夏を好きになったのも。
パティシエになって…スイーツの王子様を目指そうって思ったのは。

実際にはあまり上手くいかなくて…いつも注意されてばかりだ。

でも…小夏とメールをしていると頑張ろっていう気持ちになる。

俺は一週間…パティシエの合宿に行った。

その間はずっとスイーツ作りで大変で小夏に連絡は一つも出来なかった。

きっと悲しんでるだろうな…。
ごめんな…でも俺…頑張るから待ってろよ。