あたしは
口を開けて、固まっていた(らしい…)
「あ…、嫌だよな!
別に変な事は考えてないからッ」
−−考えていたら
殺してますよ……。
「んー…
じゃ、このタイツ切っていい?」
ギタリストとは
考えた末に、他にこれしか思い浮かばなかった
と言っていた。
あたしが頷くと、
また救急箱を取り出す。
……変な人。
芸能人なんて、
本性はみんな悪く思えるのに……
東京の人なんて
みんな酷い人ばっかりかと思ったのに……
「うわぁー…
マジで痛そう(泣)」
この人、
歩道で派手に転んでいた見ず知らずのあたしを
笑わずに、
手当してる。

