「しらないよ、そんなん」



「ね、いいじゃん。だから花火しよって」



「えぇ?まぁ、別にいいけどさ」



言った後に、「コータに誘われた」っていう事実が実感に変わって、急に恥ずかしくなった。



「よし、じゃあ決定な」



そんなコータの楽しそうな笑顔。それを見ていると、



──コータ君、

彼女いないらしいよ──



突然ともちゃんの声が、わたしの記憶から甦った。


途端に目の前で笑うコータを意識してまう、なかなか現金なわたし。


でも、やっぱり、突然のどきどきと緊張には勝てず、こう訊いた。





「花火、何人分くらいあるの?





と。