「私、翔くんと付き合い始めたの」

頬を赤く染め、そう言ってきた大石。
返す言葉が見つからない。
「おめでとう」って素直に言いたいのに…言葉が出てこない。

どこか、冗談じゃないかと思ってしまう。
いや…冗談であってほしい。


俺と、大石は幼馴染だ。
小さいころからずっと一緒。

小さい頃なら、『美沙ちゃん』って言えてたのにな。
今じゃ『大石』だよ。
恥ずかしくて、下の名前で呼べなくなってしまった。
俺が、大石のことを…意識し始めたからだ。


昔から、小さくてかわいらしくて…。
そんな大石が大好きだった。
でも…気持ちは伝えられなくて…。


そんな時、自分の後輩と大石が付き合ってるなんて…。
信じたくもなかった。

「いつから付き合ったんだよ」

思ってもない言葉が、口からでた。
しかも…口調は強くて…。
こんな言い方したら、大石が傷つくのなんて当たり前なのに…。

それでも、どんどん言ってしまう。