「久しぶり」
大樹くんの声。
中学生になった大樹くんの声は初めて聞く。
「久しぶり」
私も笑顔で言う。
「俺のこと、覚えてる?」
「うん、覚えてるよ」
あんま覚えてないけど、一応、顔と名前だけは。
「俺さ、幼稚園生の時、咲月のことが好きだったんだ」
「え?!」
そのことは知ってたけど、本人から言われるから、驚いちゃった。
「それで、今も」
今もって……。
「だから、俺と付き合ってよ」
でも、大樹くんに恋愛感情なんてないし……。
「俺に恋愛感情がないことは分かってるよ。でも、必ず俺のこと好きにしてみせるから」
そんなこと言われても……。
突然の告白で、私の頭の中は完全にパニック状態。
どうすればいいのか分かんない。
「な?いいだろ?9年間、本気で咲月のこと好きだったんだから」
9年間も?!
そんなに私のことを好きでいてくれたなんて……。
本気なんだ。
私も、本気になれるかな?
「分かった。いいよ」
OKしてしまった私。
家は同じH駅の近くだから、一緒に帰ることになった。
今日は部活ないからね。
教室に戻ると、真希が私のところへ駆け寄ってくる。
「どうだった?」
「……告白された……」
「マジ?!で、返事は?」
「OKした」
これで……よかったんだよね?

