気付けばもう昼休み。
 咲月は今頃、西階段のところで、南大樹ってやつと話してるんだろうな。

「いいのかよ、行かせちゃって」
 だって、しょうがねぇだろ。
「引きとめればいいのに……」
 引きとめればって……。
「無理だよ。そんなこと。佐久間はできんのかよ」
「あぁ、できるよ」 
 そんな簡単に言ってるけど、絶対無理に決まってるよ。
「本気で好きな女になら、簡単に引きとめられるよ」
 本気で好きな女か……。
 俺だって、本気で好きだよ、咲月のこと。

 咲月が教室に戻ってきた。