教室に戻って、自分の席につく。
 急に、いすを横に向けさせられて、目の前に真希が座る。
「好きなんでしょ?南大樹のこと」
 何言ってんの?真希は。
「好きじゃないよ」
 これは本当。
 大樹くんに恋愛感情ないもん。
 そういえば……。
「あのね、大樹くん8位なんだって、テストが」
「それで?」
「私と同じなの!!」
 すごい偶然だよね。
「嬉しいの?」
「別に」
「好きって認めなさい」
 はぃ?
「だから、好きじゃない」
 しつこいなぁ。
「じゃあ南大樹に言ってくる」
「何て!?」
「咲月が好きって言ってたって」
「それはだめ!!」
 誤解されたくないし。
「じゃあ好きって認めなさい」
「やだ」
 それだけはやだ。
 だって好きじゃないもん。
「じゃあ言ってくる」
「待って!分かった!」
 あ、言っちゃった。
 勢いで言ってしまった。
「今、分かったって言ったよね!?」
「いや……それは……」
 何で勢いでこんなこと言っちゃったんだろう。
「どこが好きなの?」
「だから好きじゃないって」