【慎也side】

「慎也~」
 泣きながら咲月が俺に向かって走ってくる。
 地震が怖いのか?
 かわいいな。
「助けて~」
 助けてって言われても、俺には障害物から守ることしかできねぇけど。
 そんなに怖いのか?
 泣きすぎだろ。
「私、慎也の後ろ歩く」
「え?」
 俺の……後ろ?
「何で俺なんだよ」
 「好きだから」って、そう言ってほしい。
 少し期待している自分がいる。
「慎也が……」
 マジ?
「……男子だから」
 そっちかい!!
 まぁいいや。
 それでも嬉しいし。
「そこにも男子いるけど?」
 俺はバカなことをした。
 もしかしたらあっちの男子の方に行くかもしれないのに。
  
 咲月は首を横に振った。
「……慎也がいい」
 え?マジかよ……。
 それ、「俺が好き」って言ってるようなもんだぞ?
 本人は気付いてないみたいだけど。
「慎也はやだ?」
「別に、やじゃねぇけど……」
 やなわけねぇだろ。