【慎也side】

 体育館の裏で咲月を待っている。
 でも、咲月はまだ来ない。
 やっぱり、南大樹を選ぶのかな?

 誰かの足音。


 ……咲月。


 俺は咲月に抱きつかれた。
 
 咲月は泣いていた。

「慎也……好き」

 言ってくれた。

 好きって、咲月が俺に言ってくれた。




 ずっと待ってた、その一言を。


「ありがとう。俺も……俺も好きだよ」


 これで、俺たちはゴールにたどり着いたんだな。



 俺たちがずっと来たかった場所。




 これからはずっと一緒だ。




 俺、分かったよ。




 素直になることは、すごく大切なんだってこと。




 素直になるのが、少しでも遅いと、ゴールにたどり着くまでの時間が、すごく長くなる。




 だから、これから俺は、素直に自分の気持ちを伝えるよ。













     咲月、好きだ。