やっと落ち着いて、階段のところに慎也と座った。


「ありがとな、俺を選んでくれて」

「こちらこそ、ありがとう。告白してくれて」

 慎也には、心の底から感謝してる。

「たくさん、遠回りしたよね」
「そうだな」

 数え切れないほど、遠回りした。

 でも、ゴールには慎也がいたから、それでいい。


 本当は半年でゴールにたどり着けたのに、私が大樹を選んだから、遠回りして、ゴールにたどり着くまで、2年半もかかってしまった。
 慎也は、ずっとゴールにいた。
 でも、私はずっと立ち止まっていたんだ。
 ずっと素直になれなくて。

「あ、そうだ」
 慎也が何かポケットからだして、私の手のひらにのせられた。
「これ……」
 もしかして……。
「第2ボタン」
「ありがと。岡田先輩と同じぐらい嬉しいかも」
「同じぐらいかよ」
 いじけて言う慎也。
 かわいい。
「嘘だよ。慎也の方が嬉しいって」
 慎也は照れながら笑う。

 これは、一生の宝物だよ。