「無理、すんなよ」
「無理なんて……」

 してないよ。
 無理なんてしてない。

「もう、俺のこと好きになろうとしてくれなくていいから。行けよ。吉田のところに」

 涙があふれた。

 


 私、やっぱり慎也のこと好きだよ。

 ずっと、無理してたんだ。

 大樹のことを好きになろうと。

 でも、やっぱり無理だった。

 私には、慎也しかいない。

「ごめんな。あの時、あんなに強引に付き合わせっちゃったりして」

 私は首を横にふる。


 大樹は悪くないよ。


 自分の気持ちに嘘をついていた、私が悪い。


 あの時、慎也に告白されたとき、何であんなこと言っちゃったんだろう。

 素直に好きって言えばよかったのに。



 2年前、岡田先輩に言われたことを思い出した



 『素直になれよ』



 今、素直にならなきゃいけないんだ。




 大樹の優しさ、一生忘れない。

 ありがとう、大樹。