「咲…?どうしたのそれ」 私が腕まくりをしていたとき、 夏穏に傷が見つかった。 とっさに隠した腕。 何て言えばいいんだろう… 私は言葉をなくした。 「もうしないで…」 下を向いている私に、 今にも泣きそうな顔で、 声で夏穏が言った。 「うん」 そう言ったつもりだが、 声が思うように出なかった。 夏穏には聞こえていたのだろうか。 でも… 私のリストカット症候群は その頃から始まったんだ。