「圭介…正直な気持ちを教えて欲しいの。好きとか、嫌いとかじゃなく」
「今の?退院できて良かったな~じゃダメか?」
「そんなんじゃないよ」
「…わかった」
圭介は、視線を海の方に戻して言った。
「あの日、メールしても電話しても返事がない事に、胸騒ぎがして…
家に行ったら車はあるけど物音がしない。
合鍵で開けて中に入ったら…弥生が倒れてた。
すぐ救急車を呼んだ。あの光景は忘れられない」
アタシも自分がした事を覚えてる。
「お前の側にあった彼の写真を見て…
弥生は追いかけたんだと分かった。
3年付き合ってる彼氏より、10年前に数ヶ月だけ付き合って死に別れた男の方が、好きなのかと思ったら…
何だか俺ってピエロみたいだと思った。
別れたら楽になれるかとも考えたけど…
ダメだったな…」
ハハハッと笑いながら言った。
「お前の意識が戻らない間、何度も噂の森に行って、弥生を連れて行かないでくれって、お願いしたよ。
弥生の本当の願いを知っていても、どうしても死んで欲しくなかった」
うん、それも知ってる。
向こう側で見てたもん。


