時空の森と悪戯な風


意識が戻ってから、たくさんの検査をした。



時間の感覚がチョット違うかもしれない。



それに体も動かない。



「ゆっくりリハビリしていけば、体も動くようになりますから。また明日、検査しましょう」



「ありがとうございました」



圭介は医者に頭を下げた。



「俺、チョット電話してくるからな」



そう言うと、部屋から静かに出ていった。





ついさっきまで、隣で話していた智治。



手の感触や、抱き合った温もり…



まだ残ってるけど、どこを見ても、智治はいなかった。



ねぇ…智治

アタシ本当にコレで良かったの?

ここにアナタがいなくて、アナタの声も聞こえなくて、それでもアタシにとって“良かった”と思えるの?



神様…

アタシ今まで悪い事した?



だって、死にたかったのに、死なせてもらえなかったから…



『生き抜いてくれ』



智治は言ったけど…



今ここで命の火を消せたなら、生き抜いた事になるよね。



自分から死ぬ事も許されないのなら…



いっそ、誰かアタシを殺して欲しい…!



もう一度、智治の所へ行かせてよ…ッ!



いくつも流れる涙が枕を濡らした。