時空の森と悪戯な風


『弥生…笑ってよ…』



笑えるわけ無いじゃん…



智治だって泣いてるのに…



『お前の笑顔を見られないまま…別れたくないんだ』



「…これでいい…?」



涙を拭いて微笑んだ。



『お前、それ“ひきつり笑い”っていうんだぞ』




二人は光の中で、抱き合って泣いた。




『弥生、いつも笑っていて。俺はずっと、お前の笑顔を見ていたいから』



智治は、アタシのおでこにキスをした。



『愛してるよ…弥生』



そっと唇を重ねた。



智治だけを包んだ光が、一瞬パッと強く輝くと、光の余韻を残しながら消えてしまった。






目が覚めると、隣に圭介がいた。



「弥生ッ!」



まだボーッとして、よく分からなかった。



「先生呼ばなきゃッ!」



バタバタ走る圭介を見て、やっと分かった。






“もう智治には会えないんだ”と…