時空の森と悪戯な風


アタシがこっちに来てから、何回、圭介の涙を見ただろう。



何回、智治の涙を見ただろう。



今思えば、あのまま命を落とさなくて本当に良かった。



伝えたい人に、ちゃんと言わなくちゃ、後悔が残る。



「智治…1つお願いしていい?」



『なに?』



「アタシもアナタを忘れないから…智治もアタシを忘れないで…」



『ああ…』



神様がアタシ達を哀れんで、こんな風に会える時間を作ってくれたんだ。



もう…
これ以上、二人に迷惑はかけられない。





「智治…」



『ん?』



「もう…戻らなきゃね…お互い、いるべき所へ…」



頑張って口にした言葉だった。