「弥生、その花なんだよ?お父さんのお墓に供えないの?」 手に仏花を持ったままのアタシを見て、不思議そうに圭介が言った。 「お墓に供えてるじゃん、ホラ、左右に…ね?」 「だって、まだ持ってるし」 「ああ…いいのよ。じゃ、行きましょ」 来た道を戻ると、アタシは途中で、別の方向に向かって歩いた。 目印の大きな桜の木に向かって。 「弥生、駐車場あっちだぞ」 「いいの、こっちで」 「何がいいんだよ?どこに行くつもりなんだ?」