「え? もしかして、知らねえの? 佐奈ちゃんは、三年二組の海原先輩と付き合ってる噂があるんだよ」
最後まで聞かずに、真哉は教室を飛び出した。
うそだろ……
あいつに彼氏がいるだなんて…
なあ、佐奈!!
いきおいよく佐奈の教室のドアをあけたが、佐奈の姿はそこにはなかった。
教室にいた、女子に聞いてみる。
「ああ、佐奈ならさっき校庭にいるのをみかけたわよ」
「まじ? さんきゅっ!」
真哉はまた走った。
どこだよ……
あっ!
校庭で仲良さそうに話している佐奈がいた。
話し相手は……多分例の先輩。
佐奈が何かを渡していた。
多分あれは、俺にもくれたチョコレートクッキー……
真哉はショックをうけて、その場で大きくため息をついた。

