君想い

「ふーん。あの子名前は?」

「萩尾沙英っていうんだって。」

僕は萩尾沙英の名前を口に出したとき少し心臓が踊ったのを感じた。

きっと自分の名前を綺麗と言われたのは、初めてだったからだ。

少なくともその時は僕はそう思っていた。

「かわいい名前だな。オマケに顔も整ってるし、俺も友だちになろうかな。」

「ちょっ、まだ俺友達とかそうゆうのじゃ…」

そう言うと貴也は女の子同士で話しをしている萩尾沙英の所にいき、貴也もそこに混ざり楽しそうに話しをしていた。

時々ちらっとその二人が同時に僕を見て、にこっと笑った。

僕は何を話しているのか気にはなったが、少し距離が離れているせいか何も聞きとることはできなかった。