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「ねーちゃん…」

俺は何もないただ白いだけの壁に向かってその人を呼んだ。

何もない、それこそ壁端に置かれた萎びた簡素なベッドが無ければ人が住んでいる痕跡すら残らないであろう部屋に俺は幽閉されていた。

今が何時で何時何分なのかは愚か、窓も無い為に朝なのか夜なのかすら解らなくなるそんな部屋に、発狂寸前になりかねないほどに俺は長い間この部屋に幽閉されていた。

「ねーちゃん…いつか必ずここから出してやるからな。」

俺はまた何もない壁に話しかけた。

その行動には意味はあった。

ちゃんと返事は返ってくるからだ。

(きた…して……よ)

聞き取り難いけどちゃんと聞こえた。

その人の声が…