Cold Phantom [後編]

インスタントだけあって、流石に香りや風味が薄かった。

味も可もなく不可もなくと言った感じで、コーヒー通な舌になった私には微妙な味だった。

でも、私はそのコーヒーカップから手を離さなかった。

「何だか、ちょっと羨ましいかも…。」

私がふと口に出した言葉にヒロ君は首を傾げた。

「羨ましい?」

「うん、何だか暖かい。」

「…コーヒー、熱かったスか?」

ヒロ君がそんな返事を返してきて、私はキョトンとした表情を見せてしまったが、その後少し笑った。

「そうじゃないよ。こうして誰かと一緒にコーヒーを飲んだことあんまり無くてさ。こうして飲むと、インスタントも美味しいね。」

私は思った事をそのまま言うと、コーヒーカップを机に置いた。

その時、不意にヒロ君は微笑んだ。

「先輩って、やっぱり可愛いッスね。」