「ま、まぁ、場所の確保だけしてくれたら荷運びのお手伝いくらいはするからさ。ほら、裏手に軽トラあるからあれを使ってね。」

そう言って、裏手側を示すように親指をアパート側に立てた。

確かに裏手には軽トラがある。

私がここに越してくる時もお世話になった事があるから、良く知っている。

「うーん、いきなりそんな事言われても…。」

「そこをなんとか頑張ってみてよ。」

そう言われて少し複雑な気分になった。

こう言う時、大家が違う部屋を見つけるとかが普通のような気がするのだけど…

「それで、工事はいつまで掛かるの?」

「ざっと1ヶ月かな。」

「1ヶ月…」

補強工事にしては短い期間だが、ある程度妥当な長さでもある。

さて、これからどうすれば良いのか。
私は少し悩んだ。