Cold Phantom [後編]

言われてみれば不思議だった。

ここは地元でも有名な謎多きスポット、これほど外観が真っ白の屋敷だ。

管理者も居ない以上この屋敷で肝試しする輩だっているはずだ。

そうすれば、この白い外観は落書きだってし放題な筈だが、驚くほどまっさらだ。

「確かに、ちょっと不思議ッスね。」

「偶然落書きする人間がここには来なかったってだけじゃないの?」

「それはあり得ないよ祥子ちゃん。これだけ雑草が所狭しと生えてるくらいなんだからこれはかなり長い間放置されてきたんじゃないかって思うんだ。それも10年や20年じゃ効かないんじゃないか。それだけ長く放置されてきたんだ。これまで落書きをされてこなかった方が不自然だと思わないか?」

「た…確かに…」

祥子先輩は気姿月先輩の言葉に頷いた。

「それに…」

気姿月先輩後ろを振り返り黙り込んだ。

「どうしたんッスか?」

「いや、これは考えすぎかな…」

そう言ってまた屋敷の方に視線を向けた。

「おーい、何やってるんですか?」

遠くから犬塚の声がして振り向くと、既に他の4人は屋敷内に入ったようだ。

「あっちもお待ちかねのようだからそろそろ行こうか。」

「えっ?あっ…はい。」

言われて俺達は先を歩き始めた気姿月先輩の後を追うように屋敷に向かった。