Cold Phantom [後編]

歩みを再開させてしばらく、足止めした場所から5分程歩いた所にそれはあった。

「着きましたよ。ここです。」

「うわぁ…」

犬塚の言い放った言葉にたけは静かに返した。

その場にいたみんなも、言葉にしないだけで心の中で同じような呟きを弄しただろう。

そこにあったのは、もう「屋敷」と言う言葉以外に思いつく表現がなくなってしまう程、屋敷らしい屋敷だった。

屋敷は全体的に白く、屋根は日本式の瓦ではなく、色の識別は出来ないが西洋の城を思わせる様な暗い色をした屋根だった。

屋敷自体もかなり大きく「森の中にポツンと」…と表現するにはちょっと不釣り合いにも思えた。
それくらい大きく風格があった。


「明治時代の日本でもこんな奇特な場所に屋敷なんて建てなかっただろうな…家主はよっぽど変わり者って事か…」

そんな事を呟く気姿月先輩に同感せざるを得なかった。

それと同時に、廃墟としての雰囲気を醸し出している屋敷は、これまで心霊スポットと呼ばれなかったのが不思議に思えるくらい不気味だった。

明るい月明かりが更に雰囲気を強調させていた。