「しっかりしてんな、お前」

「そうかな?」

「お兄さんは悪い人じゃないよね」
晴樹は尋ねた

「お前はどう思う?」

逆に近堂は尋ねた

「悪い人じゃないと思うな、
だってケーキ好きなんだもん」

「ケーキ好きは良い人か?」

「うん、優しい人」

「そんなもんか」

「そうだよ、きっと」

晴樹はうなづく

「僕、お母さんに言うよ、悪い人じゃないって」


見た目なんかで

その人の事を決め手はいけない

話してみて

やっとその人の事が分かるのだ


その数日後

男は変わっていた
毎日ブラブラ遊んでいたが、

学校に通う様になったらしい

ケーキを作る学校だ。

取り外したサングラス下は、優しかった目をしていた。

「早くお兄さんの作るケーキ食べたいな」

晴樹はその日を楽しみに待っている(終)