「二週間かかるはずだった出張を一週間で終わらせてくれたのは、感謝する。こっちも今は忙しい時期だ。有能なお前がいないのは痛いと思っていた。」


「あぁ・・・それはどうも。」



いまいちダニエルの言いたいことが分からず、曖昧な返事をした。



「だが・・・一緒に連れて行った彼女が問題を起こしたぞ。」


「・・・何だって!?」



あの後急いで帰ってきてジュリアと過ごしていたから、彼女のことはすっかり忘れていたのだ。




まさか・・・先方に何か言ったのか?



「あの会社との契約が破棄されたとか?」


「いや、そういう関係じゃない。」


「え?」



じゃぁ一体何なんだ?

他に会社に悪影響になるようなことなんて・・・。




必死で考えるブライアンに、ダニエルはそっと耳打ちした。



「お前の名誉に傷を付けるようなことを言い触らしているのさ。」


「名誉?・・・・・オレの?」




つい素が出てしまい、周りをうかがってしまった。



「フッ どうやら出張中に彼女と何かあったようだが、早く手を打たなければ・・・もしかしたらジュリア嬢にも危害が及ぶかもしれない。」


「なんだって!!!?」




ダンッとデスクに手をつき立ち上がれば、オフィス内の空気がピンと張り詰めた。




【SIDE:ブライアン(終)】