笑う夜の闇【短篇集2】

父と母が泣きながら話かけている…

何度も…何度も

―聞こえてるか?

―聞こえてる?

意識の入った俺の体と、意識の映ったモニターに同じ言葉をかけている

もっと他にも言う事があるだろうに…

―ちゃんと聞こえてるよ

この言葉は届かない

その時…ふと気付く事があった

様々な宗教で都合のいい解釈をされて来たが、死後の世界はないのだろう

いや、あったにしても、意識はあと少しの時間で消えてなくなる

霊魂が残ったとして、意識がなければもはや『無』に等しい

今も尚、愛する人の声を聞きながらにして、俺の声は届かない

この狭間が生と死の境界線であり、無意識に感じてきた恐怖なのだろう