「亜美やるじゃん!カッコいい」
思い切り走りすぎて、転びかけた私の体をカズが受け止めてくれた。
「亜美だっけ?こたぁより肝すわってるな」
ん?コイツ誰?
突然話し掛けてきた男は、どこかで見たことのある緑色の髪。
「翔だよ」
「あぁ、いつも寝てる奴」
「俺、お前より年上だけど」
敬語を使わない私に翔が若干不機嫌になる。
「亜美は伸也さんにも、こんな感じだから、勘弁して」
カズが私の肩を持ってくれた。
「あの伸也さんにか?」
「そうそう。私も最初は驚いた」
翔は私の顔をマジマジと見た後、ニカッと笑って「おもしれぇ奴」と言って人混みに消えた。
歯がない。
翔の前歯2本ともないし。


