「家に帰らなくていいのか?」 「うん」 「そうか」 伸也さんは必要以上に、何かを聞いてきたりはしない。 きっと踏み込まれたくないことがあるって、わかってしまう人なんだと思う。 だから、伸也さんといるのは嫌じゃない。 「泊まっていけ」 「えっ?」 「部屋は沢山ある。着替えは買えばいい」 「わかった」 こうして、この日から私も伸也さんのマンションに住み着くこととなった。