「亜美」 「ん?」 伸也さんは私の隣に腰掛けた。 「俺の周りにいる奴ら、みんな事情がある」 「事情?」 「親が片方いなかったり、親がヤクザだったり、辛い過去を持っていたり、今辛い中で生きていたり」 「うん」 「俺は親に捨てられた。だから一人暮らし」 「捨てられた?」 突然、伸也さんがこんな話をした意味がわからない私は、どこか上の空で話を聞いていた。