お店を出ると、猛が迎に来てくれた時と同じ、黒いワゴンが止まっていた。 猛は無言で車に乗り込む。 「亜美ちゃん、ごめんね」 車内に入るなり、泣きそうな顔で私を見つめる猛。 「何が?」 「学校で一人にして」 「別に」 「伸也さんに怒られて当然だ」 運転手に「たまり場」と伝えた後も、猛はブツブツと一人で自分を責めていた。 どうでもいいのに。 猛が学校で一緒にいてくれたって、あの視線は変わらない。 あんな視線向けられていることを、他の人に知られるくらいなら、一人で耐えているほうがマシだった。