私はゆっくりとベッドに近づき、再び伸也さんの手を握り締めた。 目が開いてる。 手を握り返してくれる。 そんなことだけど、生きてるんだって実感できる。 伸也さんは生きているんだって。 「お帰りなさい」 最高の笑顔で言うつもりだったけど、涙は抑え切れなくて…私の頬をつたり、伸也さんの頬へと流れ落ちた。 パクパクと口を動かしているけど、声は聞こえない。 だから、伸也さんの口元に耳を近づけた。 掠れた小さな小さな声で伸也さんは言ってくれた。 「亜美、会いたかった。アイシテル」と…