「はい。どうされましたか?」 「動きました…伸也さんの手が動いたんです……」 インターフォン越しに懸命に伸也さんの病状を伝えた。 「お待ちください」という声と共に会話は途切れる。 「伸也さん……」 私は伸也さんに抱きつき何度も何度も名前を呼んだ。 帰って来て伸也さん。 私…ずっと待ってるの。