「伸也さん」 「ん?」 私に腕枕をしながら、眠りに付きそうな伸也さんに話しかける。 「私、もう泣かないから」 「そんなこと決めてできることじゃないだろう」 「でも、泣かないって決めた」 「そうか」 天井を向いていた体を私のほうへ向けた伸也さんは私の低い鼻をつまみながら「無理するなよ」と優しく微笑んでくれる。 久しぶりに見た大好きな顔。