伸也さんが、玄関のドアに手をかけようとしたとき中から誰かが出てきた。 「こんばんわ。亜美さんは?」 「連れて来てます」 ひげを生やした中年男が私の名前を呼んだ。 「中へどうぞ」 伸也さんは軽く頭を下げて、中へ入った。 家の中はたまさんの匂いがして、無性にたまさんに会いたくなる。 「今日の朝、発見されたんです。こちらへどうぞ」 中年男は畳の部屋に私たちを通してくれた。 旦那さんが寝ていた、畳の部屋。 そこには旦那さんとたまさんが並んで横になっている。 顔には白い布がかけられて…