「悪かったな」 帰り道は何も喋らなかった伸也さんが、マンションに着くなり口を開く。 何で伸也さんが謝っているんだろう。 エレベーターの中で伸也さんの顔を見上げた。 「そんな顔で見るな」 感情のこもってない言葉に、私は再び憂鬱な気持ちになる。 何で謝ったんだろう? もしかしたら、また他の女の人と…… 私の頭の中は、起きて欲しくないことばかりが浮かんでくる。 部屋に着いたけど、これ以上話を聞く勇気がない。 伸也さんに何を言われるのか、考えただけでも怖かった。