話し込んでたせいで、少しのぼせ気味の体を冷ますためにベランダに出た。
「亜美、牛乳入れたぞ」
「うん」
「飲んだら髪乾かせよ」
「うん」
牛乳を一気に飲み干すと、もう一度ベランダに出た。
「どうした?」
心配そうに伸也さんが窓から顔を覗かせる。
「暑くて」
「長風呂しすぎたな。でも、湯冷めするから中入れ」
「わかった」
頭に巻いていたバスタオルをとって、髪を拭きながらソファーに腰掛けた。
「伸也さん」
「ん?」
ビールを片手に振り向く伸也さんに、心臓がドキンと脈打つ。
「母親って、子供が何よりも大切だってよく聞くでしょ?」
「あぁ」
「でも、伸也さんのお母さんやママは子供より男の人が大事だったってことだよね?」
「そういうことになるな」
「母親って本能で子供が大切なんじゃないのかな?」
「俺は母親じゃないし、母親になれることもねぇからわからないな」
「そうだよね」


