ピピピピピッ シャープペンを握り締めると、機械音が部屋中に響く。 伸也さんは少し早歩きで部屋をでると、音はおさまった。 「はい」 「わかった。今から連れて行く」 「あぁ」 携帯で誰かと話している伸也さんの声は、いつもと違う。 低い声を出すのは何回も聞いたことがあるけど、今日の声はいつもより怖い。 感情がこもっていない声。 電話の相手が誰なのかはわからないけど、こんな話し方をするのは私が知っているかぎりでは始めてだ。