「何で溜息?」 「俺の気持ちをわかってないからだ。切なくなる」 「伸也さんだって私の気持ちわかってない」 溜息を吐かれると、めんどくさいとか、鬱陶しいと思われている気になる。 だから、悔しくてムキになった私を伸也さんは宥めるように抱きしめる。 「わからないから、亜美の言葉で聞きたいんだ」 「……」 「亜美が望むことはなんだってしてやる」 「……」 そんなこと言われたら何も言えない。 ムキになった自分が恥ずかしい。