きっと祐の家族は幸せな家庭。
祐とお父さんのやり取りを見ていればわかる。
私はそんな幸せを見ながら暮らしていけるのだろうか。
やりきれないほどの劣等感が湧き上がってくる。
「祐、後でもう一度迎えに来てもらってもいい?近所に住む友達に呼ばれてるの。引っ越したら中々会えなくなるし」
「わかった。じゃあ、電話くれれば迎えに来るから」
祐に嘘をつき、私は部屋に戻った。
カミソリを持ち、何度も左腕を切りつける。
祐の優しさを拒めなかった。
本当は伸也さんが好きなのに……
伸也さんの側で暮らしたいのに……
私は祐の真剣な思いをハッキリと断ることが出来なかった。
それなのに、今になって祐の家で暮らしたくないと思っている。
きっと、祐はわかってくれない。
私を理解してくれない。
祐のお父さんを見てそう実感した。


