私達はベンチに座った。 祐の髪が伸也さんを思い出させて、胸が苦しくなる。 「あれ、男か?」 「誰?」 「明日の朝の話してた奴」 「違うけど、家が近いから迎えに来てくれる」 「そっか」 「話ってそれ?」 「あぁ」 そう言えば、祐は昔から無口だった。 しかも、私の初恋の人だと今更思い出した。 好きだったけど、冷たい祐の態度に嫌われていると思って諦めたんだった。 懐かしいことを思い出してクスッと笑ってしまう。