電話を切った後、急いでシャワーを浴びた。
もうずっと着替えさえしていない私は、体の隅々まで念入りに洗う。
バスタオルを体に巻き、クローゼットを開くと……
「どうして?」
伸也さんの買ってくれた服が、綺麗にかけられている。
あえて置いてきたのに、伸也さんがあの日持って来てくれたんだ。
伸也さんの気持ちが嬉しくて、伸也さんの匂いを体中に染みつけておきたくて、洋服を手に取った。
化粧をして、髪をセットする。
伸也さんが可愛いといってくれた姿。
鏡の前でそんな自分の姿を抱きしめる。
ピンポーン
家のチャイムが鳴る。
誰だろう?
私はインターフォンでは確認せずに扉を開けた。
「亜美、着いたよ」
「カズ、ビックリした」
「可愛い格好してるじゃん。行こう行こう!」
私はカズに手を引かれて、外へと出た。
もう雪はすっかりと溶けていて、春の日差しが私を照らす。
階段の下にはタバコを吸っているこたぁと、手を振っている猛がいた。
新しい生活に伸也さんはいないけど、大切な仲間はいてくれる。
すぐに忘れることなんて出来ないけど、私は前へと進むことを決めた。
大切な仲間とともに、高校へと通う。


