麻菜ちゃんはかなり強引で、返事をする前にアクションを起こす。
だから、ついつい考えがまとまる前に流されてしまう。
というよりは、弱い私が流されてしまっただけ。
「ようちゃ~ん。」
女同士のときとは違う甘い声を出しながら、人だかりに近づいてゆく麻菜ちゃん。
「おう。麻菜」
麻菜ちゃんの彼氏ようちゃんは、背はすごく小さいが顔立ちは綺麗だった。
真っ黒に日焼けした肌が男らしい。
「恭先輩、連れてきましたぁ」
「サンキュ」
そう言って私の目の前に現れた男の人はくっきり二重で整った顔立ち。
かっこいい部類に入る顔。
見た目はすごく真面目そう。
髪は黒だし、制服だって普通。
でも、麻菜ちゃんの彼氏の先輩ということは不良なのかもしれない。
「俺、川崎 恭平(カワサキ キョウヘイ)。宜しくね」
「はい」
「先輩、超モテるんだよ」
「そ、そうなんだ」


