「亜美ちゃん、久しぶりだね。わざわざ呼び出してすまなかった」
別に、あんたに言われたからきたわけじゃねーし。
「で、話は?」
「ここじゃなんだから、中に入って」
一々、勘に障る男の言葉。
ここは私の家なんだから、言われなくても中に入るよ。
すっかり模様替えされているリビングに入り、食卓に腰掛けた。
こんなのママの趣味じゃない。
黒と白で統一されたリビングはひんやりとしている。
ママはもっと可愛らしい部屋が好きだったはず。
前の家のリビングには沢山の植物があって、ウッド素材のものが多かった。
「亜美、いきなりだけど、私たち結婚することになったの」
「僕から話すよ」
自分を僕と言うこの男に虫唾が走る。
「君のお母さんと僕が結婚すると、お母さんの姓は僕の姓に変わる。君はまだお父さんの姓を名乗ったままだけど、僕達の戸籍に入れても構わないと思っているんだ。君はどうしたいか聞きたくて今日は呼んだんだよ」
この後も色々と話しをされた。
でも、聞こえなかった。
ママと男が物凄く遠くにいるみたいで、声なんて聞こえてこなかった。
私は鞄から携帯を取り出して、伸也さんの番号を探した。
でも、目が霞んで見つからない。
「亜美!」
ママに大きな声で呼ばれた。
「何?」
「今日は、もう遅いし泊まっていきなさい」
私は一旦自分の部屋に入った。
伸也さんに電話しなきゃ。


