車の中に乗っても、伸也さんはずっと私の手を握っていてくれた。
右手から伝わる温もりは、私の寂しさを少しずつ拭い去ってくれる。
「帰りも迎えに来るから、連絡入れろ」
もう、着いてしまった。
本当は伸也さんにもきて欲しい。
でも、仕事中の伸也さんにそんなこと言えない。
「送ってくれてありがとう」
「おう」
私は伸也さんの車が見えなくなるまで、家の前にいた。
深呼吸をして家の中に入る。
久しぶりの光景なはずなのに、懐かしさなんて感じない。
「お帰りなさい」
ママ……
思わずただいまって言いそうになった。
ママの顔を見て少し弱気になりそうだった。
でも、ママの後ろからついてきた男の顔を見て現実に引き戻される。


