「亜美」
どこからか伸也さんの声がする。
「亜美、こっちだ」
キョロキョロする私に、もう一度伸也さんが名前を呼ぶ。
「そこにいろ」
伸也さんどこ?
私、一人じゃないよね?
数分もしないうちに、私の右横に伸也さんの白いセダンが停車した。
スーツ姿の伸也さんが車から降りてくる。
「伸也さん」
私は寂しさに押しつぶされそうで、伸也さんに抱きついた。
「どうした?」
どうかしたわけではないから、首を横に何度も振った。
「どこ行くんだ?」
「実家。ママに呼ばれた」
「送ってく」
そう言って、伸也さんは私の体を離そうとしたけど、私は必死に伸也さんの体にしがみ付いた。
「亜美。一人でどこかに行こうとするな。俺がいるって言ってるだろ」
伸也さんの優しい声に手の力が抜ける。
「車に乗れ」
「うん」


