「亜美、ちょっといい?」
めずらしく麻菜ちゃん一人で私の席に来た。
麻菜ちゃんはどうも苦手。
一緒じゃないと友達じゃない!って考え方が強くて、何でも一緒にやりたがる。
「うん。どうしたの?」
「亜美に一目惚れした先輩がいるんだけど」
「…………」
頭の中が真っ白になる。
一目惚れって、恋愛用語の一目惚れってことだよね?
「でっ、その人、ようちゃんと仲がいいんだけど、亜美どう思う?」
「どう思うって、その人のこと全然知らないし」
「じゃあ今から行こう」
麻菜ちゃんに手をひっぱられ、その先輩の下へ。
本当は行きたくない。
でも、そう言えない。
だって、麻菜ちゃんに嫌われたら、クラス全員に嫌われるかもしれないから。


